TiN 高硬度 HV3000 強化膜とは通常アーク方式を元に電磁収束とプラズマ強化技術を応用に、
特殊プロセスによりTiN膜層の構成粒子を細かくし、硬度も粗さも性能を全面的に強化した膜です。
- 応用例条件
- 刃物型番:φ8.0×130 超硬合金ドリル 被切削材料:42CrMoV(30~33HRC)
切削速度:120m/min 送り:0.14mm
送り速度:672mm/min 主軸回転速度:4800rpm
切削深さ:24mm
TiN強化膜,1080穴切削後の刃摩耗状態
通常TiN膜,810穴切削後の刃摩耗状態
TiN強化膜特性
1.高硬度HV3000
TiN強化膜は日本と海外で何回も硬度測定テストを行い、硬度の値はHV2500からHv3500。
平均値Hv3000程です。
通常他社TiN膜はHV2000からHV2200です。
2.強化された密着力
硬度の強化に伴い、密着力も高くなっております。
スクラッチテスト: 100N以上
圧痕テスト: 150kg
3.良好な表面状態
TiN強化膜400倍顕微鏡写真
通常TiN400倍顕微鏡写真
新ナノ複合積層膜コーティング技術
新ナノ複合積層膜コーティング技術とは、数nmから数nm厚の違う特性の膜を、
複数回交代して繰返しコーティングすることにより、硬度と靭性を向上させた新コーティング技術です。
従来のコーティング膜は円柱状結晶が連続して単一方法に成長するため、膜の横方向に対しての靭性は弱く、
硬度を十分に活かすことが難しい条件がございました。
新ナノ複合積層膜コーティング技術で従来の円柱状結晶の連続配列を断つことにより、
膜層の靭性と硬度の性能を大幅に向上しました。
単層高硬度膜 | 単層高靭性膜 | 新ナノ複合積層膜 | |||
---|---|---|---|---|---|
耐摩耗 | ○ | 耐摩耗 | × | 耐摩耗 | ◎ |
耐衝撃 | × | 耐衝撃 | ○ | 耐衝撃 | ◎ |
CrNコート新ナノ複合積層膜の性能試験結果
金型使用寿命の比較
- 加工条件
- 製品: パンチ金型
材質: SKD11
加工部品材質: SKD11
加工部品厚み:5mm
結果:
コーティング未処理の金型は3万個の部品を加工できたのに対し、CrN通常膜は20万個加工、更に新ナノ複合積層CrN膜は40万個の加工を可能にし、金型の使用寿命を大幅に伸ばすことが実証されました。
エンドミル使用寿命の比較
材質: WC
型式: YG8
加工部品材質:FC300
結果:
単層CrNコートの場合、未コート品の1.75倍寿命を延ばしましたが、更に新ナノ複合積層CrN膜は2.75倍未処理と比べ切削寿命を伸ばすことが実証されました。
新ナノ複合積層膜各種コーティングの性能比較
膜の硬度はDSI(Depth sensing Indentation)法との押込み技術を元に、MTS Nano Indenter XP ナノ圧痕測定器にて測定しました。
膜の密着性はMFT-4000多機能材料表面測定器でスクラッチ試験法で測定したものです。
膜種 | 通常コート硬度 | 新ナノ複合積層膜の硬度 | 通常コート密着力 | 新ナノ複合積層膜の密着力 | 結果 |
---|---|---|---|---|---|
CrN | 1800~2100 | 2300~2500 | 100N | 122N | 硬度向上、密着力が大幅に上がる |
AlTiN | 2700~3000 | 3800~4000 | 100N | 110N | 硬度が大幅に上がる、密着力向上 |
AlCrN | 2600~2900 | 3000~3300 | 100N | 114N | 硬度、密着力向上 |